琉球舞踊 高平良万歳より 万歳かふす節・おほんしゃり節・さいんする節|意味・歌詞まとめ

琉球舞踊 高平良万歳

歌詞

(万歳かふす節)

一、 万歳かふすや やんざいかふすや 二月御穂立て穂祭りや 天より下りの 何の日取りや よい日取り 米や重さり 石や軽さり 天より下りの 布織り上手の 綾織り男の 錦の金襴 唐苧の金襴 男の長者の 荷馬の長者の 荷負ひよはれて やんざよはれて やんざやんざと馬乗て通れば 一段と誉められた 今日も明日も御祝事

万歳講者は 行脚講者は 二月の穂立てや穂祭りには 天から知らされた何時かの吉日を選んで 豊作で米は重く 重いはずの石がかえって軽いものだ 天から下りてきた 布織り綾織りが上手な男が 錦や唐苧の金襴を着て 馬に荷を負わせた着飾った長者が 行脚だ行脚だと言って 馬に乗って通れば 人々から一段と誉められた 今日も明日も御祝事であるよ


(おほんしやり節)

一、隣の耳切れ鼻切れ ごね引き猫が 目剥げ首白鼠に 荒かぢ喰われて あびらじをらばじ とのかじ思入や里一人だう やえ 里が物云いくらしやや 何に譬えるが やえ ふだのぎゃげなや

隣の耳が切れた 鼻が欠けた びっこを引いた猫が 目のただれた 首が白く剥げた鼠に 首筋を咬まれたが 叫ぶことも 跳び上がって逃げる事もできない (そんな面白い話を聞いても) 黙り込んでいるのは あなた一人だけですよ あなたの物言いにくそうにしてる様子は 何に譬えることができようか 危うく私は騙されるところでした

(さいんする節)

一、京の小太郎が作たんばい 尻はげ破れ手篭緒すげて 板片目貫ち乗り来たる みいははとしい ツォンツォン やんざいかふすや 馬舞者 猊子舞うた 獅子舞うた かにあるものおめかけため をかしやばかり シタリガ ツォンツォン ヤァ ツォンツォン

京の小太郎が作った 底の抜けた破れた手籠に、馬の尻尾をつけて、馬頭からを象った板切れに手綱の穴を貫き通して 乗馬の格好で乗り込んできた 行脚講釈者(遊行僧)は 馬舞者で 獅子を舞った このようなものをお目にかかってしまった おかしなことだよ

単語集

  • 万歳 / 京太郎(チョンダラー)、ヤンザヤーとも称される。年始に家々を巡り門付けの祝言を唱えたり、歌や舞の披露、葬式などでは念仏を唱える遊行僧のことをさす。見返りとして米やお金をもらって生活していたと言われる
  • かふす / 講釈をする者、小法師

高平良万歳について

高平良万歳は、田里朝直作、組踊「万歳敵討」より2人の兄弟が踊る舞踊を抜粋した作品です。「万歳口説」では、兄弟が万歳姿に身をやつし、敵の元へと向かう道行を描きます。今回の「万歳かふす」〜「さいんする」では宿敵・高平良御鎖が浜下りをする一行の前で、お慰めとして踊りを披露し、首尾よく敵を討つところまでの音曲として使用されています。

三線奏者のひと言

琉球舞踊 芸能コンクール最高部門の課題曲でもあるこの曲は、踊り手にとっても地謡にとっても憧れの演目。いつか地謡してみたいと夢に見ていた学生時代を思い出します。オリジナルとなる組踊「万歳敵討」全編をみると、舞踊で見るときよりももっと鬼気迫る臨場感が味わえます。僕は国立劇場で初めて見た組踊が実はこの「万歳敵討」でした。高平良御鎖が穢れを払うために浜下りをする場面は、沖縄の民俗的な信仰に依るもので、戯曲としての面白さに加えて、琉球の民俗文化をみるようで興味深いです。いつ見ても飽きさせない演目です。ぜひ皆さんも劇場でご覧下さい!

演奏動画