久高万寿主|意味・歌詞まとめ

久高万寿主

歌詞

一、久高万寿主や 美ら妾とめててぃんど(ヨー玉黄金 )今宵の話の面白さ スリサーサ スリエイ スリサーサ

 久高万寿主は 美しい愛人を求めたってぞ 今宵の話は面白いこと

二、久高二才達や 白手巾や打ち振り けぇ振り(ヨー玉黄金)今宵の話の面白さ スリサーサ スリエイ スリサーサ

 久高の青年達は 白い手ぬぐいを 振り回していたよ 今宵の話は面白いこと

三、一合小うたびみせら 二合小うたびみせら(ヨー玉黄金)三線弾ちゅたる七月や スリサーサ スリエイ スリサーサ

 一合のお酒をいただきましょう 二合のお酒をいただきましょう 三線を弾いている七月だ

四、この殿内の南蛮甕や 酒てらむん ゆったいくゎったい (ヨー玉黄金)かんしん面白さる七月や スリサーサ スリエイ スリサーサ

 この屋敷の南蛮甕は 酒がたっぷんたっぷん入っているぞ こんなにも面白い七月だ

五、首里の行き戻り 那覇の七戻り (ヨー玉黄金)今宵の話の面白さ スリサーサ スリエイ スリサーサ

 首里を行ったり来たり 那覇を行ったり来たり 今宵の話は面白いこと

六、我達が若さる間 首里那覇も たっちき むっちゃき (ヨー玉黄金)今宵の話の面白さ スリサーサ スリエイ スリサーサ

 私たちが若かった頃は 首里と那覇は ついそこのように(近かった)今宵の話は面白いこと

単語集

  • 久高万寿主 / 人名。遊び人で知られていた人物
  • 妾(ゆーベー) / 愛人
  • 二才達 / 青年達
  • 打ち振りけ振り / 振り回して
  • 白手巾 / 白い手ぬぐい
  • 玉黄金 / 玉や黄金のような大切な人。恋人、子供を指す美称接頭語

久高万寿主について


RASEN(螺旋)in okinawaのOZworldの歌でも話題になった「クユイヌ ハナシヌ ウームッサー(=今宵ぬ話の面白さ)」と言う歌詞。沖縄の伝統芸能・エイサーでは超定番曲というのはもう皆様よくご存知ですよね。

久高万寿主(マンジューシュ)のほか、久高頑丈主(ガンジューシュ)、久高頑固主(グヮンジューシュ)などと表記されることもあり、久高万寿主がどのような人物であったか詳細は不明です。18世紀後に編纂された「屋嘉比工工四」の写本に1番の歌詞と同様のハヤシ詞が記されています。各地に旋律やハヤシ詞の語句が同系の歌が伝承されており、八重山諸島黒島などの踊り歌「コームッサー」や沖永良部島知名町のヤッコ踊りなどでも聞くことができます。

三線奏者のひと言

ザ・エイサーの定番曲。沖縄の夏の風物詩であるエイサーはコロナ禍以前に比べると見る機会も少し減りましたが、この曲が流れてくると「あっちでエイサーやってるね〜」って会話になるくらい、私が生まれ育った沖縄本島ではすごく耳馴染みのある曲です。エイサー好きの人に「クーダーカー」と投げかけると、だいたいの高確率で「スリサーサー」と返ってきます(笑)。「イーヤーサーサー」「ハーイーヤー」もそうですけど、掛け声のやりとりが面白いのもエイサーの特徴ですね。

この曲は、久高万寿主という遊び人の行状を第三者が玉黄金(愛しい人や子どもなど)に面白がって話して聞かせる、という内容の歌。沖縄の歌って、うわさ話がそのまま歌詞となった曲も多く、何気なく聞こえてくる曲も、実際は歌詞の内容がとんでもない意味合いが含まれていることも(笑)。

その点、現代でも週刊誌のゴシップ記事が注目される理由もなんとなく分かるというか。有益な情報や話題なんていくらでもあるのに、やっぱり人間はうわさ話が気になってしょうがない、そんな生き物なのでしょう…まぁ良い悪いは別として、人間の普遍的な姿がこの曲にも垣間見えるなーと思いました。とはいえ、エイサーは先祖供養の芸能でもあるのに、歌詞の内容がゴシップネタって(笑)。強烈すぎる…あらためてめちゃくちゃ面白いですこの曲。

久高万寿主の演奏動画