歌詞
一、庭や雪降ゆい 梅や花咲ちゅい 無蔵が懐や 真南風ど吹ちゅる
庭には雪が降り、梅は花が咲き、あなたのふところには南風が吹く
二、ぬがし我が庭や 梅や咲かなそて 毎夜鶯の 通て泣くちゅが
どうして庭は梅の花が咲かないのに、毎夜鶯が通って鳴いているのか
三、波の上に行ちゅみ 薬師堂に行ちゅみ なりし薬師堂や ましやあらに
波の上にいこうか、薬師堂にいこうか。慣れ親しんだ薬師堂がましではなかろうか
単語集
- 真南風 / 南風
- ど / 係助詞
- ぬがし / なぜに。どうして。
- 咲かなそて / 咲かないのに
- 鶯 / うぐいす
- 通てなちゅが / 通って鳴いているのか
- 波之上 / 地名。那覇市にある。
- 行ちゅみ / いこうか
- 薬師堂 / 那覇にあったとされるお寺。東寺(諸説あり)
- 慣れし / 慣れた、慣れ親しんだ
- ましやあらに / ましではなかろうか
恋の花について
八重山の「くいぬぱな節」が本歌と言われ、八重山でこの歌を聞いた首里の人が沖縄へ持ち帰り「恋の花」になったのではないかと言われています。沖縄芝居「薬師堂」では、物語冒頭、主人公・白河白露が友人を連れ「薬師堂の浦で遊ぼう」と誘う場面で歌われます。また、琉球民謡の新人賞の課題曲としても選曲されており、とても人気の高い一曲です。
三線奏者のひと言
沖縄に雪は降りませんが、庭に降る雪、そしてそこに咲く梅と大和文学に描かれるような情景が風情を感じさせます。二番目の歌詞、梅は咲いていないのにどうしてウグイスが毎夜通うのだろう、という男女の関係をストレートに言わない表現も文学的ですよね。冬に聴きたい曲は?と聞かれたら「恋の花」と答えたくなるくらい、なんだか寒い日に聞きたくなる一曲です。