沖縄芝居の公演であふれる?母の日にこそ沖縄芝居をみる文化⦅髙井賢太郎⦆

沖縄芝居を知っているだろうか。最近、沖縄県外での公演や催しも多くあるが、人によってはなかなか触れる機会が少ないかもしれない。

僕も沖縄に住んで数年、存在は知っていたものの…ご縁がなかった伝統芸能だ。大学院を修了した頃、先輩に機会をいいただくことになった。当初、まったくわからない僕でよいのかと驚きと戸惑いとワクワクとしたあの気持ちはいまだに鮮明思い出せる。

ただ、沖縄芝居が、人の暮らしや生活にとっても近い娯楽なんだろうということはなんとなく理解していた。沖縄に住んでいたからこそなんとなく感じていたし、公演をみたことがある人はわかるであろうあの独特な会場の空気が教えてくれる。ある意味、ディープな沖縄に出会える場所でもあると思う。

そんな沖縄芝居は、母の日公演というちょっと特別な公演がある。一般的に5月12日が近づくと、Happy Mother’s Day! というプロモーションで世の中にはいろんな新製品や限定商品、サービスであふれかえる。

しかし、沖縄では母の日といえば沖縄芝居なんだそう。いつからか定着していたそうだが、先輩曰く。少し昔までは母の日のみならず一週間毎日あふれんばかりの観客で公演が行われていたのだとか…。

今でも母の日になると各劇団が沖縄芝居公演を行う。劇場やホールの主催公演を除き、劇団主催の公演もその昔に比べると減ったそうだが、母の日になるとやはりチカラの入り具合が違うようにみえる。やはり母の日の沖縄芝居は特別なんだろう…

僕もありがたいことにここ数年母の日の沖縄芝居にかかわっている。いや、出演している。

それはもう楽しみにしている!という人の話も聞くし、会場前から列ができているのをみるとやはりそこに熱量と愛を感じる。

守らなければいけないもの、つながなければいけないもの!ではなく楽しいからつないでいる、好きだからやっている!と出演者はじめ劇場にくる人たちからも感じる。そして、そう思わせてくれる沖縄芝居にかかわれることを幸せに思う。

今年の母の日は夜半参と奥山の牡丹だ。稽古は毎度のこと本番さながらの緊張感と沖縄芝居特有の?アットホーム感の入り混じるそれはもうユニークな時間だ。役者たちは、役と現実のONOFFがパチパチと入れ替わり気づけば稽古が終わっている。

ラスト、一週間。こうして母の日に沖縄の伝統にかかわれること、沖縄芝居という沖縄を生きてきた人の想いを詰め込んだ演劇に触れられる毎日を幸せにかみしめて…。一期一会の舞台を駆け抜けたい。今日も稽古だ!

夜半参の紹介がわかりやすく、ユニークだったのでこちら↑

沖縄芝居 奥山の牡丹
沖縄芝居 奥山の牡丹


記事:リュウカツチュウ 髙井賢太郎