琉球舞踊 前之浜より|前之浜節・与那原節・坂原口説|歌詞・意味まとめ

琉球舞踊 前之浜

歌詞

(前之浜節)

一、前の浜に つれ飛びゆる浜千鳥 友を呼ぶ声は チリチリヤ チリチリヤ

 前の浜で連れ飛んでいる 浜千鳥の友を呼ぶ声が チリチリと聞こえてくる

二、渡地の渡し舟 漕ぐ艫の櫓の音か カラリコロリ漕げば 行きやり来やり

 渡地の渡し舟の櫓の音は からりころりと軽やかで 向こう岸と行ったり来たり

(与那原節)

一、かりゆしの遊び うち晴れてからや 夜明けて太陽の上がるまでも

 おめでたいお祝いの遊びに、心が晴れ晴れとなったからには、夜が明けて太陽が上るまでも遊び明かしましょう

二、夜の明けて太陽や 上がらはもゆたさ 巳午時までや 御祝さびら

 夜が明けて太陽が上がってもいいでしょう 正午前まで皆んなでお祝いしましょう

(坂原口説)

一、今日の座敷は祝いの座敷 亀が歌えば鶴は舞ふる

 今日の座敷は祝いの座敷で 亀が歌えば鶴は舞う

二、上り下りの坂原越えて 元の都に早帰る 

 上り下りの坂や野を越えて ようやく元の都に帰ってきた

単語集

  • かりゆし / 縁起のよい
  • 太陽ぬ上がるまでも / 太陽がのぼるまで(遊びましょう) 
  • 上がらわもゆたさ / 上がってもよいことよ
  • 巳年時 / 巳の刻(午前10時)から午の刻(正午)までの間
  • さびら / ~しましょう

前之浜節・与那原節・坂原口説について

前之浜節、坂原口説は琉歌の様式とは違った詩形となっている。いずれも『屋嘉比工工四』『琉歌百控』に節名の記載はない。与那原節は、『屋嘉比工工四』『琉歌百控』には記載があり、後者の一部では「余万節」(一名)と表記されている。琉球舞踊「前之浜」は、この3つを組み合わせた楽曲で構成されている。

三線奏者のひと言

最初はどうも好きになれなかったこれらの曲。思えばすんなりと覚えられない旋律に苦戦していたんだなと。でも今はけっこう面白いじゃん!って思える。3曲の歌詞に一貫性がないのも、なかなか面白い(笑)。まあ、そんな細かいことはおいといて曲そのものをおもむろに聴いてみるのもいいでしょう。

演奏動画