万歳口説|意味・歌詞まとめ

万歳口説

歌詞

一、親の仇を 討たんてやり 万才姿に 打ちやつれ 棒と杖とに 太刀仕込で

 親の仇を討とうと 万歳姿に身をやつして 棒と杖に太刀を仕込んで

ニ、編笠深く 顔かくち 忍び忍びに 立ち出ぢて 村々里々 越え来れば

 編笠に深く顔を隠して こっそり家を出て 村々里々を越えて来ると

三、平良や忍ぶ 敵の門 兄弟尻目に 目過ごして 後の道に 巡り来て

 平良は敵が忍んでいる家なので 兄弟二人は横見に見て、後ろの道から巡ってきた

四、行く末吉の 御神に 祈る心は 我が敵に 急ぢ引合わせ 賜りてやり

 末吉宮に参拝し神様にお祈りする心は「我が敵に早く合わせてくれ」と(お祈りした)

五、登て社壇に 願立てて 真南に向かひて 眺むれば 四方の景色の 面白や

 社壇に登って願いを立てた後、真南を眺めると 四方の景色が素晴らしい

六、慶伊と慶良間の 渡中には 海士の釣り舟 浮きつれて 沖の鴎と見まがふや それから下り下り来て(えい)御寺御門に 立ち寄やり 休む姿や 他所知らぬ

 慶伊と慶良間の沖合には 漁師の船が連なって 沖のカモメと見間違うほどである それから下ってきて 寺の門に立ち寄って 休む姿は(これから仇を討つとは) 誰も知るまい

単語集

  • 討たんてやり / 討とうと
  • 平良 / 首里平良
  • 末吉 / 末吉宮(首里末吉公演内)
  • 渡中 / 沖合

万歳口説について

万歳口説は、田里朝直作の組踊「万歳敵討」で使用される曲です。主人公の謝名の子と慶運の兄弟が父の仇を打つため、旅芸人に身をやつし敵の元へと向かう道行で演奏されます。「おほんしゃり節」「さいんする節」と合わせて琉球舞踊「高平良万歳」としてまとめられています。

三線奏者のひと言

この曲との出会いは、琉球舞踊「高平良万歳」を初めて見た時です。メロディは「上り口説」とほとんど同じなのですが、踊りがとてもかっこよく、いつか自分も歌いたいと夢を膨らませていたのを思い出します。

琉球舞踊「高平良万歳」が芸能コンクール最高賞の課題曲でもあるため、芸能際などでは地謡をする機会が回ってきます。師匠からは、同じ「口説」でも「上り口説」と「万歳口説」とでは、曲想を変えて演奏することを心がけなさいと教わりました。

演奏動画