歌詞
一、面影の立てば 宿に居られらぬ でぃちゃよ押し連れて 遊で忘ら
貴方の面影が立ったら、家でじっとしていられない。さぁ連れたってあの人のことを忘れよう
ニ、貫木屋のあさぎ 手巾布立てて 我が思る里に 情け呉らな
立派な家の母屋の別練で、愛の印の手ぬぐいを織って、愛おしいお方に差し上げましょう
三、情呉るびけい 手巾呉て何すが がまくくん締める ミンサ呉らな
愛の印として呉れるのなら、どうして手ぬぐいほどのものをくれるのか。それなら腰を締めるミンサー帯も差し上げましょう
四、遊で忘れらぬ 踊て忘れらぬ 思い勝ていきゆさ あれが情
遊んでも踊っても、貴方のことが忘れられない、貴方の愛情でますます思いが募っていきます。
単語集
- でぃちゃよ / さぁ、いざ。
- 押し連れて / 連れ立って
- 貫木屋 / 貫き木のある立派な母屋
- 手巾 / 手ぬぐい(女性が愛しい男性へ送る愛の印)
- 呉らな / 〜してあげたい、〜をあげたい
- がまく / 腰のくびれ
- ミンサー / ミンサーの帯
加那よーについて
“加那“とは愛しい人の呼称。「〽︎かなよー」と歌い出すのは名前を呼ぶだけでなく「愛しい人よ」と呼びかける「=愛し(かなし)」だろうとも言われています。元々は、男女の語らいの場「毛遊び(モーアシビ)」で歌われた遊び歌で、上句と下句を男女が交互に歌垣のようにして歌うこともあったとか。
そのほか村々の祭で、円陣を作って踊る神遊びの歌として現在でも歌われています。歌と合わせて踊りも非常に人気が高く、明治に成立した雑踊の中でも特に好まれて踊られます。軽快な曲と可憐な乙女心が垣間見えるキャッチーな一曲です。
三線奏者のひと言
「面影が立ったならいてもたってもいられない。遊んでも踊ってもあの人のことが忘れられない。それどころかますます想いが強くなっていく」誰かを思う気持ちって今も昔も変わらないんだなと思わせてくれる一曲です。ある人曰く「加那よーを聴くと17,8歳の頃を思い出す」とおっしゃってました