歌詞
一、旅や浜宿り 草ぬ(ヤレ)葉ぬ枕 寝ても忘ららん 我親ぬ(ヤレ)我親の御側(チヂュヤーヤ ハマヲゥティ チュイチュイナ)
旅は浜辺を宿にし 草の葉を枕にする 寝ても忘れられないのは 我が親のお側である
二、旅宿ぬ寝覚め 枕(ヤレ)すばだてぃてぃ 覚出すさ昔 夜半ぬ(ヤレ)夜半ぬ辛さ(チジュヤーヤ ハマヲゥティ チュイ チュイナ)
旅の宿で目覚め 耳をそばだいると 昔の事が思い出されて 夜半が辛い
三、渡海や 隔じゃみてぃん 照る月やふぃとぅち あまん眺みゆら 今日ぬ(ヤレ)今日ぬ空や(チジュヤーヤ ハマヲゥティ チュイ チュイナ)
海を隔てていても 照る月はひとつ きっとあの人も眺めているだろう 今宵の空を
四、柴木植いてぃ置かば しばし(ヤレ)ばとぅいもり 真竹植いてぃ置かば またも(ヤレ)いもり忍ば(チジュヤーヤ ハマヲゥティ チュイ チュイナ)
柴木を植えておくので たしばしばおいでください 真竹を植えておくので またお会いしましょう
単語集
- すばだてぃてぃ / 枕などから頭を持ち上げて聞き耳をたてる
- 夜半 / 夜中
- 渡海や隔じゃみてぃん / 遠く海を隔てても
- あまん眺みゆら / あの人も眺めているであろう
浜千鳥について
沖縄の人々は、遠く離れた地からふるさとを想う心情を、浜で遊ぶ千鳥に託して歌ってきた。「浜千鳥」のバリエーションは多く、「新永良部千鳥」(しんえらぶちぢゅやー)」「南洋浜千鳥(なんようはまちどり)」「下千鳥(さぎちじゅやー)」「島尻千鳥(しまじりちじゅやー)」などがある。
三線奏者のひと言
日本文学にも「奥の細道」というものがありますが、作品の主題や背景や若干は違うにしろ、長旅ってある種の“侘しさ“も感じるのでしょうね。昔は電話やインターネットなどありませんから、想いの度合いは現代の感覚とは比べものにならないくらい切実だったに違いない…