かぎやで風|意味・歌詞まとめ

かぎやで風

歌詞

一、今日の誇らしゃや 何をにぎやなたてる 莟で居る花の 露行逢たごと

 今日の嬉しさを何に例えよう。蕾んでいる花が露と出逢ったようだ

単語集

  • 誇らしゃや / 嬉しさは、喜びは
  • 何をにぎやなたてる / 何に譬えようか(例えようか)
  • 莟で居る / つぼんでいる
  • 露逢たごと / まるで露と花が行き逢ったようだ(朝露を受けた花が今にも咲き出すような心持ちである)

かぎやで風について

言わずと知れた沖縄の祝いの歌。祝宴の座開きには必ず演奏されるこの歌。古典音楽では「今日ぬ〜」で始まり(かぎやで風節)「今日ぬ〜」で終わる(仲節)と言われるほど、重要な位置付けの歌詞です。

“今日の喜びを何に例えよう?” 花で例えるなら普通「一面に咲き誇る…」とか「満開の花が…」という風に、“物事が最高潮である様子“に例えそうなものですが…。琉歌の世界ではどのように例えているか。「今日の喜び」=「蕾が露と出逢ったようだ」というんです。注目したいのが、「喜び」を「つぼみの花」にたとえているところ。

にわかには理解し難い喜びの表現ですが、“花が満開である様子“ではなく、“蕾が露と出逢って、今まさに花開こうとするその一瞬“が喜ばしい。何ともみずみずしく、これからさらに明るい未来がやってくる…という期待を持たせる表現ですよね。

そのため座開きに歌うことで、その宴がますます盛会になるようにとか、ひいてはそこに居合わせた人の人生がますます良い方向にいきますようにという願い、壮大な話でいうと時の国王の治世がさらに発展しますようにという思いが込められているのだと思います。だからこそ宴の最初に歌われ、踊られるんです。

三線奏者のひと言

古典音楽、初級の曲にして基礎的な吟法(歌唱法)がちりばめられた曲。個人的には特に「ネーヰ」という節回しを理解するのに相当な時間がかかりました。

いとこの結婚式、祖母の生年祝いなど節目には必ず「だー三線弾いてごらん」と言われかぎやで風を歌った記憶が呼び起こされます。沖縄の人にとっては最大級の祝福の表現とも言える一曲です。

演奏動画

解説動画